肥満
 

最近肥満のネコが増えている原因の1つは、
ネコの食生活が向上し、必要以上に栄養価の高い食べ物を与えられている事でしょう。
また、都市部で室内だけで生活し運動不足のネコが増えている事もあります。

治療の必要があるほど病的に肥満したネコはそれほど多くありません。
しかし肥満気味のネコは非常に多いようです。

肥満を病気と考えない人もいますが、少なくとも病気の予備軍です。
ネコが健康に生きるには、肥満は避けるべきです。

ネコは一日の大半をあまり動かずにすごします。
ところがネコが太りはじめると運動量がさらに減るため、
肥満が進みます。
その結果ますます運動量が少なくなり、太っていくという悪循環におちいります。

ネコが肥満になると、運動能力が低下し、
高いところに上がれても降りる事は出来なくなる事もあります。
体の柔軟性も失われるため、自分の体を舐めたり手や足で体をかいたりすることも
難しくなります。

肥満になると疲れやすくなり、また心臓や呼吸器にも負担がかかります。
そのため、少し運動しただけでもゼーゼーとあえいだで呼吸が荒くなり、
それほど動いていなくても体を横たえているこうになります。

人間と同じように、ネコも肥満していると糖尿病や肝臓の病気になりやすく。
また、関節や靱帯に負担がかかるために関節炎などの病気にもなります。
さらに、病気や怪我の際に薬や麻酔が効きにくくなって、治療が困難になることもあります。

運動不足でストレスがたまり、それを解消するために頻繁に食べたがることもあります。
そこで、飼い主は定期的にネコと遊ぶなどして、ネコが運動する機会を作る事も大切です。

内分泌系の病気でホルモンの分泌が少なすぎたり多すぎたりするとき、
不妊手術や去勢手術の後にホルモンのバランスが崩れた時にも肥満になりがちです。
このような場合、体の一部が脱毛したり発疹ができるなど皮膚病を併発することもあります。

また、腹部に水がたまったり(腹水)、子宮蓄膿症などの他の病気になっても
腹部がふくらんで太ったように見える場合もあります。
とくに腹水は命に関わる重大な病気の症状です。

ネコが急に太ってきたと思ったら、皮膚や被毛の状態、元気があるかどうかなど
他の症状にも注意するべきです。
ただちに獣医師に診せましょう。

治療では、ネコが太りすぎているようなら、食事を管理することによって減量させます。
まず目標となる体重を決め、2〜3ヶ月かけ徐々に体重を減らしていきます。
しかし、肥満している事で心臓、呼吸器に大きな負担がかかり、
その為に他の病気を悪化させる可能性があれば、もっと短期間で体重を減らすべきです。

しかし、素人判断で減量を行うと、ネコは体の栄養バランスを崩し、
かえって病気になる危険があります。
短期間で大幅に減量する必要が有る場合には獣医師と相談しましょう。

長期間かけて減量する場合には、一部ペットショップなどで売っている、
ダイエット用の特別な食べ物(処方食)を使えば栄養バランスに気を遣わずに
ネコを健康的に減量することができます。

好き嫌いがひどく、ダイエット用の食べ物を食べない場合には、
食べ物にカロリーの少ない鳥肉を混ぜたり、そのネコの好きな食べ物を少量
混ぜ味付けをするなど工夫して、カロリーを減らします。

魚肉も低カロリーの物がありますが、黄色脂肪症になるおそれがあるので、
そればかり食べさせない方が良いでしょう。
また、飼い主が適度にネコと遊ぶ事も大切です。




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