巨大食道症
 

食道は強い筋肉でできています。
そのため多少大きな物を噛まずに飲み込んでも、食道はいったんふくらんで
通常はすぐに元に戻ります。
また、食道の筋肉は規則的に収縮と拡張を繰り返す蠕動運動をおこなって
口から入った食物を胃に送っています。

生まれつき神経や血管に異常のあるネコや、消化器の病気になったネコでは、
食道の蠕動運動が止まって広がったままになる事があります。
これを巨大食道症といいます。

食道がどのくらい広がっているかにより、現れる症状も異なります。
こぐ軽い場合にはめだった症状がでないこともあります。

拡張がひどくなると、食べ物のほとんどは食道の途中にとどまり、
胃まで到達しません。
そのためネコは食事のたびに吐くようになります。
固形の食べ物ははよく食べたままの形ではき出し、水を飲んでさえ吐く事があります。
巨大食道症になっても適切な治療や看護を行えば、食事をきちんと取る事ができます。
また、吐いた物を気管に吸い込み、それが肺に入って肺炎をおこすこともあります。

治療では、原因によって多少異なります。
食道炎など他の病気が原因となっているときは、その病気を治療することによって
巨大食道症の症状が消えることもあります。
生まれつきの巨大食道症は、内科療法などで完全に完治することは困難です。
しかし食事の与え方を工夫すれば症状が改善する事があります。

たとえば流動食を少しずつ与えたり、食器を高いところに置き、
ネコに後ろ足で立つような姿勢をさせて食事をとらせます。
こうすると、食べ物が食道にとどまらず、胃まで達するようになります。



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