消化器の病気概要
 

ネコも人間と同じように、毎日食べたものを胃や腸で消化し、栄養を体内に
吸収しています。
食道から胃、腸、そして肛門までの器官を消化器と呼びます。

消化器の中でも、とりわけ胃や腸は病気になりやすい器官です。
ネコは体調が悪くなったりウイルスや細菌に感染すると、しばしば消化器の病気になり、
吐いたり下痢をしたりします。
また、腐りかけた食物や冷たすぎるものを食べても、やはり胃腸の調子を崩します。

胃や腸の病気には、すぐに治療しないと死亡する可能性の高いものもあります。
ちょっとした下痢や嘔吐をおこしたときでもネコの状態をよく観察して、
病気とみられるときにはただちに動物病院に連れて行きましょう。

ネコはときどき間違えて、毒物、ビニールやプラスチック、金属、布、紐など、
食べ物以外の異物を食べてしまう事があります。
また、飼い主がうっかりして古くなったり暑さなどで腐りかけた食べ物を
ネコに与えることもあるでしょう。

胃や腸の病気はたいてい、飼い主にもはっきりとわかる下痢や吐き気などの
症状として
現れます。
こうした症状を獣医師に報告すれば、ネコがどんな病気になっているかを判断する
上で大きな助けになります。

飼い主は以下に挙げる5項目に注意してください。

●嘔吐物や下痢便の色や形
ネコの吐いた物は黄色や茶色だったり、透明の液体だったりします。
たいていは胃でいくらか消化され、どろっとしていますが、ときには食べ物が
そのまま出てくる事もあります。

下痢便の色は黒色やチョコレート色、茶色、黄色、白色などさまざまです。
黒色やチョコレート色の便には血が混じっている事もあります。
また水溶性のものや泡をふくんだもの、べとっとした粘液性のものがあります。
さらに重い下痢では、腸の粘膜状のものが一緒にでてくることもあります。

ときには、紙、ビニール、プラスチックや、回虫、条虫などの寄生虫が
存在するときもあります。
ネコの嘔吐物や便の色と状態、その中に含まれるものを獣医師に説明できれば、
診断の助けになります。
できれば、嘔吐物や便を手頃な容器に入れて持参すれば、獣医師はいっそう正しく判断出来ます。

●出血の有無
吐いた物や下痢便に血が混じっている事があります。
出血が軽い時には、排出物に血が筋状に混じっていたり、血の小さなかたまりがみられます。
病気が重いと出血量が多くなり、吐いたものや便がピンク色に染まっていることもあります。

さらに病気が重くなると、血を吐いたり、血で真っ赤になった便を出すこともあります。
これは緊急事態なので、ただちに獣医師の診断を受けなければなりません。

●吐いたり下痢をした時間帯
ネコが吐く、吐き気をみせる、下痢をするなどの時間が、食べ物と関係している事が
あります。たとえば、それらの症状が食後すぐに始まったのか、30分後か3時間くらい
たってからか、それとも食前や空腹時かなどです。

また、食事の時間とは関係なく、こうした症状を示す事もあり、病気によっては
ネコは毎日吐く事もあります。
どんな時間帯にこれらの症状がはじまったかが分かれば、
ネコの病気の原因を推測できることもあります。

●下痢や嘔吐の回数と間隔
ネコが吐き気を見せたり吐いたり、また下痢をした時、それらの回数も観察してください。
一日にほぼ一回なのか何度も繰り返すのか、それとも2〜3日おきに症状が現れるのかなどにより
病気の種類や症状がわかることもあります。

●下痢や嘔吐以外の症状
病気によっては下痢や吐き気にともなって他の症状が現れる事もあります。
たとえば食欲がなくなる、元気がなくなる等です。
また発熱したり、腹痛のためにお腹をかばうような仕草や歩き方をすることもあります。
このような症状からも、ある程度、病気の種類や病状を判断する事ができます。



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