直腸脱
 

腸の一部が体の外にはみ出す病気で、ねこではときどきみられます。
大腸の最後の部分である直腸が裏返しになり、肛門から外に出てきます。
そのとき直腸の粘膜がむき出しになるため、時間がたつと患部はむくみ、
真っ赤になって腫れあがります。

そのまま放置すると、外に出た大腸の粘膜はぼろぼろになり、さらには腸自体が
壊死することもあります。

ネコは飛び出した腸を気にし、また痛みがひどいためにしきりになめようとします。
すぐに治療しないとネコははげしく衰弱します。

原因は、ネコが大腸炎などの病気で下痢になり、何度も排便したり排便姿勢を
とってりきんだりしていると、大腸が肛門からはみ出てしまいます。
下痢だけでなく、排便や排尿困難などでこのような動作を繰り返しても、
腸が脱出することもあります。

慢性的に下痢をしているネコや、腸が弱くてよきどき下痢をするネコは
直腸脱をおこしやすく、治療で整復した後に再発する事も少なくありません。

治療では、発症してからあまり時間が経っておらず、大腸がそれほど
損傷していない場合は、患部を冷やし、むくみがとれてから、
腸を体内の正常な位置に押し戻します。
じきに再発しそうなときには、肛門を一時的に縫合し、1日〜数日そのままに
した後、抜糸し、その間に併行して、原因となった大腸炎などの病気を治療します。

腸の損傷が回復できないほどひどかったり、腸を整復した後に何度も再発する
ときには損傷した腸を切除するなどの外科手術が必要です。



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