腸重積
 

腸の病気の中でも非常に重いものの1つです。
言葉では分かりにくいのですが、腸の一部が内側にめくれて、隣り合う部分
の内部に入り込む病気です。
腸が積み重なったような状態になるため重積と呼びます。

この病気になると重積した部分で腸が三重になるため、正常の大きさに広がる
ことができません。
そのため、腸の内容物がその部分でとどこおり、結果的に腸閉塞の症状が出ます。
重積になって腸が完全にふさがると症状は重くなり、内科療法だけで治療することは
できません。治療には緊急の手術が必要です。

症状が軽いと飼い主の気づかないこともあります。
しかし症状が慢性的に続くため、ネコは徐々に衰弱し命に関わることもあります。

急性で症状が激しいと腹痛もひどく、ネコがお腹をかばうような姿勢をとり、
体を触られるのを嫌がるようになります。

こうなると、ネコは全く食欲がなくなり、水を飲む事も出来なくなります。
さらに嘔吐することもあり、水分がとれないため短時間で脱水症状をおこし、
くったりしてしまいます。

また腹痛がひどいため、何度も排便の仕草をすることもあります。
しかしそのような姿勢をしても、たいていは便はまったく出ないか、水溶性の便が
少量ずつでるだけです。

この病気は症状が軽いときでも、治療しなければこの病気が治癒することはありません。
ほうちすればネコはいちじるしく衰弱します。

治療では、脱水症状を軽くするために輸液などをおこないながら腸の整復手術を行います。
とくに腸に障害がなければ、腸管を正常な状態に戻しただけで
整復が完了することもあります。
しかし重積した部分が血行障害などのために壊死している場合には、
その部分の腸管を切除し、正常な部分をつなぎ合わせるなどの処置を行います。

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