ネコはときどきひどい骨折にみまわれることがあります。
強靱な筋肉と、体が柔らかいこともあり、かなりの高さから落下しても、
途中で巧妙に体制を立て直してケガをせずに済むこともまれではありません。
しかしその限界を超えるような場所から転落すれば、骨折などの大ケガをしたり、
悪くすれば死亡することになります。
そしてこのような転落によって生じる骨折はしばしば複雑で、治療と回復が困難です。
また、交通事故などにあって骨折したり死亡することも少なくありません。
ネコが骨折し、動物病院に入院して治療をおこなった場合、退院後の家庭での
看護が非常に重要です。
もともとネコはギブスや包帯を装着しにくい体型をしています。
回復するまで、飼い主は固定具がはずれないように気を配らなければいけません。
症状としては、ふつうは骨折した場所のまわりが腫れてひどい痛みをもつため、
ネコは患部を触られるのを嫌がります。
そうなるとネコは元気を失い、動きたがらなくなったり、歩き方がおかしくなるなどの
運動障害が現れます。
折れた骨が皮膚や筋肉を突き破って体の外に出る開放骨折では、ひどく出血して
ショック症状になることもあります。
また、同時に体に強い衝撃を受けた時には、同時に内臓も損傷していることがあります。
このようなときネコは意識を失い、口や鼻から血を流すなど重篤な症状をみせます。
頭骨が折れたり脊椎が骨折すると意識障害をおこすことがあります。
四肢のうち一本以上の足を完全に骨折すると、ネコはその足を地面につけなくなり、
動けなくなります。
しかし大腿骨などを不完全に骨折したときには、まわりの強い筋肉が骨折した部位
を保護してくれることもあります。
このような軽い骨折の場合には、ネコはその足を守るように不自然な歩き方をしたり、
走れないなどの運動障害をおこしますが、時間がたつとともに自然に治癒することもあります。
治療では、手足の骨の亀裂、骨盤の骨折では、骨折部分や骨折の状態にもよりますが、
手術は行わない事もあります。この場合は3〜4週間ネコをゲージに入れ安静にさせ
同時に内科療法を行います。
しかし骨折にたいしては一般的には手術を行い、骨を整修して固定します。
骨髄の内部に金属のピンを埋めこんだり、金属板(プレート)で骨をはさんで
ネジで止めたり、また金属ワイヤーで骨折部をしばるなどの方法をいくつか組み合わせます。
いずれにしろ、折れた骨が完全につくまでは、どんな骨折でも最低1ヶ月はかかります。
その間は骨折した部分を動かさないようにしなくてはなりません。
術後のケアは獣医師とよく連絡をとり、十分注意しながら行ってください。
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