交通事故によるケガ

 

車にはねられるとほとんどのネコは死亡するか、たとえ治療によって回復する場合でも、
完治までに長い時間がかかります。
ネコが交通事故にあいやすい環境にいる飼い主は、ふだんから十分な注意が必要です。

交通事故で起こりやすい症状は、いくつかあります。

まず、頭部を打った場合、頭蓋骨骨折や頭部への強い衝撃があれば、
その日が数日以内に死亡する可能性が高くなります。

それ以外でよく見られるのは、下あごの骨折です。
なかでも下あごの骨が真ん中で左右に分離してしまう正中骨折はよくみられ、
ネコは口を閉じれなくなって、よだれを垂らしたりすることがあります。

胸部を打った場合には、気胸になることがあります。
呼吸困難やせきが出たるすることがあります。

胸と腹を損傷してもっともよくみられるのは横隔膜ヘルニアです。
横隔膜がさけ、内臓が胸部に入り込み臓器を圧迫します。
するとネコは呼吸困難をおこしたり呼吸があらくなったりします。

腹部を打った場合、肝臓や腎臓などを損傷し、出血が多ければすぐに死亡する
こともあります。
膀胱の破裂などをおこした場合は手当が早ければ回復する可能性もあります。
ただし診断はしばしば困難です。

事故後、あとで後遺症が出ることも少なくありません。
とくに頭部を打ったときは、一見して無事のように見えても、しばらくは
ネコの状態を観察するようにした方が良いでしょう。

治療では、消毒、抗生物質や消炎鎮痛剤の投与、点滴などの内科療法
だけで治療できる場合もありますが、緊急の手術が必要になる場合も少なくありません。

ただし、ネコが昏睡していたり極端に衰弱しているなどの場合には、
手術がすぐに必要でもすぐに行えないこともあります。



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