ネコは飼い主の目の届かないところでは、ほかのネコとケンカする、
手足や顔をガラスの破片やとがった金属などで切る、高いところから
落下したり、交通事故にあうなど、いろいろな原因でケガをすることがあります。
飼い主はネコが危険にあわないように予防策を立てるべきですが、
事故を完全に防ぐ事はできません。
もしネコがケガをしたときには、出来る限り早く適切な治療を行えばそれだけ
ケガは軽くなり、ときには命を助ける事も出来ます。
●屋外の事故を極力減らすためには、屋外で過ごす事の多いネコは必ず去勢・不妊の
手術を行い、他のネコとのケンカの機会を減らすべきです。
去勢したオスネコは、そうでないネコにくらべ、ケンカの激しさや回数はずっと
減少します。
去勢するとあまり遠くまで遠征しなくなるので、交通量の多い道路まで
出かけていって交通事故にあう確率も減ります。
また、不妊手術をしたメスネコの行動範囲は非常にせまくなり、生活は平穏で
事故にもあいにくくなります。
●屋内事故では、たとえばコンピューターやテレビ、オーディオ機器、電気製品などの
後ろに複雑にはりめぐらされた配線コードは、もぐりこんだネコの体にからまる危険があります。
また、寒い時期のストーブや沸騰したお湯の入ったヤカンなどに触れてヤケドをする、
バスタブや洗濯機の中に転落しておぼれ死ぬという事故もまれにあります。
さらに、ドアの不用意な開け閉めの際にはさまれて、手や足に重傷を負ったり、
高層マンションのベランダや窓から転落するなどの危険もあります。
このように、屋内でも死亡事故につながるようなものには普段から適切な処置を
ほどこし、ネコの命を守るよう十分に注意してください。
●ネコが事故にあいやすい理由のひとつは、ネコが強い好奇心を持っているからです。
しかしネコの怪我については、もうひとつの問題があります。
それは、ネコの体がとても柔軟であることと関係しています。
柔軟であることは一方では事故から身を守るプラスの要素となります。
しかし他方で、これはしばしば怪我の治療を遅らせるマイナス要因ともなります。
たとえば、きちんと巻いた包帯が役に立たなくなることがあります。
ネコは体のほとんどの部分に口が届くため、包帯をいやがって
口でひきはがしてしまうことがあるからです。
せっかく傷を治療しても、こうしてむき出しになった傷口を自分でなめると、
閉じていた傷口が開いたり、消毒した傷が化膿する原因をつくってしまいます。
そのため動物病院で治療を受けた場合は、家庭へもどってからの看護が非常に大切です。
ただし、ネコが包帯をとるからといってあまり強く巻きすぎると患部やその周辺に血行障害
をおこし、かえって治療を遅らせる事もあります。
家庭で、包帯を巻く場合には、伸び縮みしない包帯を使わないようにし、
患部を強くしめすぎないように注意する必要があります。
ギブスなども、ネコにはあまり効果的に装着できないばかりか、騒いで
外れかかったりするとかえって逆効果になることもあります。
このような場合、長期にわたってゲージなどに入れて運動を制限しなければ
ならないこともあり、やはり家庭での看護の仕方が重要となります。
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