メスネコの子宮が細菌に感染して炎症をおこし、子宮内部にうみがたまります。
不妊手術をしていないネコに多い病気です。
メスネコが水をたくさん飲むようになり、ひんぱんに尿を出します。
このような症状は、腎臓炎や膀胱炎など他の炎症をおこす病気でもみられます。
この病気になると、子宮の内部にうみがたまって子宮がふくらみます。
うみの量が少なければ子宮もそれほど大きくならず、
おなかのふくらみも目立ちません。
しかし病気が進んでうみの量が多くなると、おなかが大きくなってきます。
ネコは元気を失い、食欲もなくなります。
吐いたり、熱を出す事もあります。症状が進むと貧血になり、口の粘膜が白くなります。
この病気になった時、発情中であればしきゅうの先端部(子宮頸)が開いているので、
外陰部からうみがでます。しかしまったく出ない事も珍しくありません。
腎不全をおこしていることも多いので、子宮蓄膿症の治療よりも、
まず腎不全の治療を優先することもあります。
この病気は年を取ったネコがなりやすいようです。
ふつう、メスネコの子宮の先端部(子宮頸)は閉じており、細菌が子宮内に
入り込むことはありません。
しかし発情期や出産時には子宮頸がゆるむため、細菌が侵入しやすくなります。
子宮粘膜も、細菌の感染を防ぐ働きをもっています。
しかし卵巣から黄体ホルモンが分泌されると子宮の粘膜が厚くなり、
そのために細菌に対する抵抗力が弱くなります。
なお、黄体ホルモンは妊娠を維持したり乳腺を大きくする働きをもっており、
ふつうは排卵後に卵巣から分泌されます。
病気の治療や避妊のために黄体ホルモンを使う事もありますが、この時にも
子宮粘膜は弱くなり細菌に弱くなります。
こうして子宮が細菌に感染し、そのあとで子宮頸が閉まると、
子宮の中にうみがたまっていき、子宮蓄膿症になります。
治療では、ふつうは手術で子宮と卵巣を切除します。
しかし、ネコが大量にうみを出しているときや、ネコの体がよわっていて
手術に耐えられそうもないときもあります。
このときは、ホルモン剤や抗生物質などの薬をつかって治療します。
内科療法では再発することがありますが、手術を行えば完治します。
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