肝臓とすい臓の病気概要

 

肝臓とすい臓は食べ物の消化を助ける酵素を作っています。
しかしそれだけではありません。
肝臓はさまざまな栄養素を貯蔵しているほか、体内に入った毒物を
無害にする大切な役目を持っています。
またすい臓は、インスリンを分泌して血糖値を調節します。

これら臓器に異常が生じても病気が重くなるまで、
ネコにはめだった症状が現れません。
しかし、病気が重くなってからでは効果的な治療はできません。

ネコに食欲が無い、眠っている時間が長いなどの状態が続いたら、
早めに動物病院で診察を受けましょう。

●肝臓はネコの体内でもっとも大きな臓器のひとつです。
胸と腹をへだてる横隔膜のすぐ後ろにあります。
消化・吸収された食べ物の成分を分解し、
それらを材料にして必要な栄養素を合成し、
さらに体に入った毒物を無害にしています。

肝臓は、「沈黙の臓器」と呼ばれています。
というのも、肝臓の病気は症状が出にくく、ほとんどの場合、
気づいたときには病状がかなり進んでいるからです。
肝臓はふだん一部分しか働いておらず、
予備的な能力が十分に残っています。
また部分的に損傷したり手術で大部分を切除されても、
時間がたてばほぼ元通りに再生します。
しかし何度も損傷を受けるとしだいに予備能力も再生能力も失われ、
病気の症状が現れるようになります。

人間でも肝臓の病気には気づきにくいものですが、
ネコの場合にはさらに気づきにくく、深刻な事態を
招く事が少なくありません。

ネコが肝臓の病気になっても、はじめのうちは多少元気がなくなったり、
食欲が落ちる程度です。
しかも、ネコは健康なときでも一日の大半を眠って過ごすため、
具合が悪くて寝ている時でも飼い主は気づかない事が多く、
病気の発見が遅れ、病院に連れて行ったときには、
かなり進行していることが少なくありません。

●すい臓は十二指腸(小腸の始まりの部分)の内部にある細長い
小さな器官です。
インスリンというホルモンを分泌する働き(内分泌機能)です。
このホルモンは血中内の糖の濃度を調節するはたらきをしています。
すい臓がインスリンを十分に分泌できないと、
その動物は糖尿病になります。
また、死亡・炭水化物・タンパク質を分解する強力な消化酵素をふくむ、
「すい液」を作ります。
すい液はすい管を通って十二指腸に注ぎ込み、食べ物の消化と吸収を助けます。


ねこのすい管は、途中で総胆管(胆汁を小腸に運び込む管)と合流します。
そのため、これら2本の管の一方が炎症をおこすと、もう一方にも
炎症が生じることが少なくありません。

そこで、ネコがすい臓の病気を発症すると、引き続いて胆管炎になったり、
さらには肝炎を併発することがあります。
また逆に、肝臓や胆管の病気が原因ですい臓の病気になることもあります。


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