脂肪肝(肝リピドーシス)

 

肝臓に脂肪がたまり、そのために臓器がきちんと働かなくなる病気です
太ったネコに多くみられます。
ネコが生きていくうえで必要な量よりも多くのエネルギーが供給されると、
あまったエネルギーは肝臓の脂肪となります。
そして、この臓器から体のあちこちにある脂肪組織へと運ばれ、
体が太っていきます。

ところが、脂肪が肝臓から脂肪組織へとスムーズに運ばれないと、
肝臓によぶんな脂肪が蓄積し、肝臓の組織が脂肪に置き換わります。(脂肪肝)
その結果、肝臓は本来の仕事ができなくなります。
この状態が続くと、ネコは生きていくことも危うくなります。

症状としては、元気を失って食欲がなくなり、長い間うつらうつら寝ることが
多くなります。ときどき吐いたり、下痢をすることもあります。

病気が進むと肝臓が腫れて大きくなり、体には黄疸の症状が現れて、
目や口の中が黄色がかって見えます。
(ただしこれら症状は脂肪肝以外での病気にもみられます。)

ネコは健康なときにも寝ている時間が長く、
食欲にもムラがあるので、多くの飼い主は病気の初期段階では、
ネコの異変に気づきません。
たいていの場合、黄疸症状が現れ、目の結膜が黄色くなったときにはじめて
おかしいと感じるようです。

病気がさらに進行すると、ネコはよだれを出したり、
意識障害を起こす事もあります。

また、ビタミンB12の欠乏などの栄養障害、代謝の異常、中毒なども
脂肪肝の原因となります。
甲状腺機能亢進症などのホルモンの病気や、慢性の腸炎(炎症性腸疾患)、
心筋症などの病気をもったネコも、肝臓に脂肪がたまりやすくなります。

治療は、ネコの脱水症状をやわらげ、体の電解質のバランスを調整するために、
静脈に点滴を行います。
また、体の抵抗力が弱るので、細菌に感染しないようにさまざまな細菌に
効果をもつ抗生物質を投与します。
この病気のネコに不足しがちなビタミンK1を投与することもあります。

ネコがこの病気になると食事を取らなくなるため、胃や食道にチューブを入れ、
長期間にわたって強制的に流動食を与える必要があります。


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