胆管肝炎症候群

 

ネコの肝臓や胆管が炎症をおこす病気です
肝臓と胆管はつながっているので、どちらかが炎症をおこすと、
しばしばもう一方も炎症を起こします。
そこで、肝臓と胆管に生じる炎症をまとめて「胆管肝炎症候群」とよびます。
この病気では、肝臓や胆管が化膿するときと、そうでないときがあります。
これらの臓器や器官が化膿すると、症状は急速に悪化します。

■化膿性の胆管肝炎症候群

メスネコよりもオスネコに多く見られる病気です。
発熱する、食欲不振になる、おなかが痛むようすをみせるなど、
急性症状が現れます。
黄疸になって目や口の中が黄色がかって見える事もあります。
ひどくなると吐いたり下痢をおこし、その結果、脱水におちいって、
全身の状態がいちじるしく悪化します。
この病気になって食欲不振が何日か続くと、脂肪肝を併発することもあります。

治療では、ネコの体力を保たせ、全身の状態がよくなるように
静脈に点滴を行います。
細菌が原因とみられる時には、適切な抗生物質を与えます。
これは二次感染を防ぐためでもあります。
別の病気が原因でこの病気になったときには、手術が必要になるときもあります。
ときに胆管が閉じているときには緊急に手術をしなくてはいけません。

■非化膿性の胆管肝炎症候群

食欲があるとき、ないときがある、ときどき吐いたり下痢をするなどの症状がでます。
また、眠っている時間が長くなり、なんとなく元気がなく、やせてきます。
しかし、ときどきは旺盛な食欲をみせるため、心配した飼い主も、
元気がなかったのはちょっとした体調不良だったのだろうと考えがちです。
そのため、病気がかなり進行してからはじめて獣医師に診せる事が多くなります。

症状が進むと肝臓が腫れて大きくなり、ときには口の粘膜が黄色くなるなどの
黄疸が現れる事もあります。
この病気はネコの中年期(5〜6才ころ)以降に多く見られ、
症状ははじめは軽く、普通は2ヶ月以上かかって少しづつ進行します。

治療では、原因となっている病気を治療し、脂肪肝を併発している場合には
その治療も同時に行います。

胆管が硬くなっておらず、また閉鎖もしていないときには、
免疫の異常なはたらきをおさえるために、免疫抑制薬を飲み薬として与えます。
この薬はもうひとつの働きとして、胆汁や肝臓の組織にたまる胆汁酸が引き起こす
炎症を抑えます。
そのほか、ネコの体力を保たせるためにバランスのとれた食事を与え、
水溶性ビタミン(B1、B2など)やビタミンK1を投与します。


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