胃の腫瘍

 

ネコの胃は横隔膜のすぐ下の、腹腔の左上にあります。
胃は、まず食道につづく噴門からはじまり、胃底部、胃体、幽門洞、
幽門をへて、最後に十二指腸へと達します。

このうち胃体はもっとも大きな部分で、弛緩能力
(伸びたり縮んだりする能力)も強力です。

この内部では、胃液と蠕動運動によって食べ物を
化学的および機械的に消化します。

幽門洞からはガストリンと呼ばれるホルモンが放出され、
これが胃酸の分泌を調整します。

胃の腫瘍にも良性腫瘍と悪性腫瘍があります。
しかしネコは人間ほど高い確率で胃の腫瘍にはなりません。
良性腫瘍としては胃ポリープや平滑筋腫があります。
また悪性腫瘍としてはリンパ腫や、まれに腺ガンがあります。

症状は、ネコの胃に腫瘍が生じると、はじめのうちはときどき吐くようになります。
そして病気の進行とともに嘔吐の回数が増えていきます。

吐いた物を観察すると、胃液に血液が混じっていることが分かります。
食事の直後に吐いた場合は、食べ物も吐きます。
吐く時間は一定していません。

こうしてネコはしだいに食欲が低下し、元気を失って体重も減少します。
胃の腫瘍はリンパ腫と同時に発症することが多く、
悪性の場合は胃に穴があいて腹膜炎を併発し、死亡します。

原因に関してはよくわかっていません。

治療は、腫瘍が良性の場合は、早期に外科的手術をすれば回復します。
手術後は安静を保ち、消化の良い食事を与えて、定期的に検査を受けて下さい。

リンパ腫であれば、外科的な切除を行い、その後放射線治療や
化学療法を組み合わせて治療します。

腺ガンの場合は、外科的切除を行えば一時的に進行を抑えることができます。
しかしその後の化学療法は有効ではありません。

また、治療法は病気を発症した時のネコの年齢や一般的な体の状態、
ガンの進行状態や転移の有無によって、一概には決められません。

それぞれの利用法の効果と副作用、副作用が出た時の対症療法について、
獣医師とよく相談して下さい。


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