肥満細胞腫

 

肥満細胞というのは骨髄でつくられ、全身の結合組織で成熟します。
肥満細胞の腫瘍は内臓型と皮膚型に分けられます。
この腫瘍はイヌが多く発症するものの、ネコはではそれほど多くありません。

症状では、内蔵型の腫瘍はとくに骨髄、脾臓、肝臓、リンパ腫、肺、腸、をおかします。
この病気にかかったネコは元気がなくなり、食欲が低下します。
おなかを触診すると、脾臓が腫れている事がわかります。
また、症例の40%には、血中に肥満細胞が存在します。
腸がおかされた場合は、ネコは元気を失って食欲が無くなり、
下痢や嘔吐をするようになります。

とくに小腸付近を触診すると腫瘤(腫瘍のかたまり)の存在がわかります。
この腸型の腫瘍では、血液中に肥満細胞は認められません。
皮膚型では、おもに頭部や首のまわりの皮膚に多数の腫瘤が生じます。
これはしだいに全身の皮膚へと広がります。

治療では皮膚にできた腫瘤は可能な限り外科的に切除します。
切除した腫瘤を病理検査して、この腫瘍かどうか確定します。

全身に多数の腫瘤が点在する場合は、ネコの体力にあわせて何回かに
分けて手術することもあります。

すべての腫瘤を切除した後は、副腎皮質ホルモン薬を投与します。
また、血管新生阻害療法(ガンに血管が作られないようにし、
ガンを兵糧責めにする新しい治療法)を試みることもあります。

内臓型の腫瘍で、脾臓がおかされている場合は、脾臓を摘出します。

早期発見が重要です。
気を付けていれば、毎日のブラッシングや手入れの際に、
米粒より小さい異常な腫瘤を早めに発見できます。
腫瘤が見つかったらできるだけ早く外科的に切除する必要があります。

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