乳ガン(乳腺腫瘍)

 

乳腺の腫瘍には悪性のものが多く、ほとんどメスに発生します。
これには「腺腫」と「腺ガン」があります。

不妊手術をしていないメスネコは、手術をしてあるメスネコに比べて
発生率が高く、また高齢になるほど乳ガンを発症しやすくなります。

ネコには胸部から腹部にかけて10個の乳頭があります。
(左右が対になっていないこともあります。)

乳腺腫瘍が発生する場所は一定していません。
初期には米粒ほどの大きさで痛みもありません。
そのため放置され、はじめて獣医師が診察するときには、
すでに複数の乳房に腫瘤(かたまり状になったガン)が
あることも珍しくありません。

腫瘤が大きくなって目立つ頃になると、乳頭から黄褐色
あるいは血のような色の分泌物が出ます。
腫瘤が破れて出血することもあります。

乳ガンは早い時期に近くのリンパ節に転移し、
さらに肺に転移します。

肺にガンが転移すると、ネコは呼吸が苦しくなり、
せきが続きます。
元気が無くなって食欲が低下し、体が衰弱していきます。
そのほか、ガンは胸膜や副腎に、さらに肝臓、脾臓、卵巣、子宮へと
広く転移していきます。

乳腺ガンは避妊手術をしているネコに少ない事から、
ホルモンの作用が影響しているとみられます。
また、シャムネコが高い確率で若い時に発症する事から、
遺伝的な要因もあると思われます。

治療では、他の腫瘍と比べ悪性(ガン)の比率が高く、
直径が2cm以上になると手術をしても予後がかなり悪くなります。
そのため、できるだけ早い時期に発見することが重要です。

腫瘍を外科的に切除し、切除した組織を病理診断してガンかどうかを確定します。
切除後に放射線治療を行います。
ガンがまだ初期のうちに見つかった場合には、外科手術後に
血管新生阻害治療を実施することもあります。
これは新たにガンが成長するのを防ぐ新しい治療法です。


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