リンパ腫(リンパ肉腫)

 

血液とリンパ系の腫瘍は、ネコの腫瘍の中でもっとも多く、
ネコ白血病ウイルス感染が関与しています。
腫瘍の種類には、リンパ系腫瘍(リンパ腫)と骨髄性腫瘍があります。
リンパ腫は悪性リンパ腫あるいはリンパ肉腫とも呼ばれます。
これは造血系の腫瘍の中でもっとっも多く、病巣の生じた部位によって、
縦隔型、消化管型、多中心型、白血病型などに分類されています。
これらはネコ白血病ウイルスの感染によって生じると考えられています。

これらのうち、もっとも発症しやすい縦隔型と消化管型について説明します。

■縦隔型リンパ腫

縦隔というのは、左右2つの肺の間にある部分で、
表面は縦隔胸膜と呼ばれる膜におおわれています。
この中には心臓、大血管、気管、気管支などの気管が含まれています。
縦隔型リンパ腫(胸腺型リンパ腫ともいう)はこの縦隔に発症する腫瘍で、
リンパ腫の中でもっとも多いものです。

発症の平均年齢は2〜3才で、症状は数日間からときには半年間くらい
続きます。
この腫瘍が生じたネコは、食欲がしだいに低下して体重が減っていきます。
呼吸が苦しくなり、ときどきせきや吐き気がみられます。
腫瘍はときには骨髄に浸潤する事もありますが、他の臓器への浸潤はまれです。

ネコ白血病ウイルスへの感染が原因となるとみられています。

治療は、縦隔にできた腫瘍が成長したり胸水がたまるために、
胸腔がせまくなります。
そのため肺や心臓が圧迫されて、正常な呼吸ができません。
胸腔の容量を広げていくらか楽にするためにネコはオスワリの姿勢をとります。

消極的な治療法としては、ネコが少しでも楽になるように、
たまった水を抜き取ります。

積極的な治療法としては、複数の抗ガン剤を用いる化学療法と放射線療法が有効です。
しかし、これら治療を行っても完治することはなく、
少しでも良い状態をできるだけな学区維持することが目標となります。

この病気はネコ白血病ウイルスが原因となるとみられているので、
子ネコの頃からワクチンを接種することがもっとも重要です。

■消化管型リンパ腫

消化管型リンパ腫になると、胃腸や腸間膜リンパ節がガンにおかされます。
発症年齢は平均8才前後です。

書状としては食欲不振や体重減少、それに下痢や嘔吐など消化器症状を示します。
ネコは寝ている時間が増え、何となくだるそうに見えます。

治療では化学療法が推奨されていますが、治療成績は良好とはいえません。
したがって、症状をおさえるための対症療法が主になります。
これもそれぞれのネコによって異なるので、治療の利点と欠点(副作用)について、
担当の獣医師とよく話し合って決定してください。
なお、予防の方法は良く分かっていません。


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