脳と神経の病気概要

 

ネコの脳は、人間の脳と同じく、体の司令塔の役割をはたしています
手足を動かす、呼吸をする、心臓が鼓動するなどの命令を出しています。
これら命令は、脊髄と末梢神経を伝わって、全身のすみずみまで届きます。
脳や神経は体の中でもっとも精巧にできているので、
わずかな異常がおこっても、体に重大な変化が生じます。
また、脳や神経をつくっている細胞は、いちど傷つくとなかなか再生しません。
そのためこれら病気になったり毛がで損傷すると、治療は困難です。

ネコには幸い、脳や神経の病気はそれほど多くありません。
もっとも多いのは交通事故や落下事故で体に強い衝撃をうけて脳や神経が傷つく事です。
そのほか、最近、ウイルス、寄生虫に感染した時も、脳や神経に異常がおこることもあります。
また、薬や毒のある植物によって中毒をおこしたり、栄養性の病気になった時にも、
ネコが神経症状を示す事があります。
また、まれに生まれつき小脳が発達していない、脳をひたしている液(脳脊髄液)
が異常に多いなど、脳に障害をもつネコもいます。
このように生まれつきの障害は治療する事ができず、飼い主の十分な世話が無ければ、
生きていく事ができません。

脳、神経に異常が起きたときの症状はさまざまです。
歩く時ふらつく、足をひきずる、体の一部がまひしている、頭をつねに傾けている、
痙攣をおこす、目が見えないようすをみせる、正確が変わる、急に攻撃的になる、
奇妙な行動をとるなどです。

脳・神経の病気は診断が難しく、またネコは病院に行くと緊張して症状が隠れてしまいます。
そのため飼い主はできるだけ正確にネコの症状を獣医師に伝えることが大切です。

飼い主はネコにどんな病歴があるか、事故にあったことはないか、
症状がいつおこったのか、どこがおかしいかなどを観察、記録して、
それを獣医師に伝えるとよいでしょう。

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