脳・神経の先天的異常

 

ネコの中にはまれに、生まれつき脳や脊髄に異常をもつものがいます。
先天性の脳の異常でもっとも多いのは、小脳がきちんと発達しない病気です。
これはウイルス感染が原因となるので、妊娠前に母ネコにワクチンを
接種しておけば、予防できます。

●小脳の形成不全
小脳は、ネコの体の平衡を保ち、また運動をつかさどる大切な器官です。
しかし、母猫が妊娠しているときに汎白血球減少症ウイルスに感染すると、
胎児の小脳は十分に発達しません。

また、生まれた直後にウイルスに感染し、そのために小脳が発達しない事もあります。
このような子ネコは、立つときによろけ、体の動きがぎこちなくなります。
歩く時にふらついたり、歩幅が調節出来ずに前足を大またで出そうとします。
まったく歩けないこともあります。
治療はできないものの、症状が悪化する事はほとんどなく、
成長するとともに歩き方が自然に近づくこともあります。

治療法はありませんが、症状が軽ければ普通の生活ができます。
しかし多くの場合、飼い主がネコの状態に気を配り、身の回りのお世話を
する必要があります。
予防方法としては、子ネコを産ませるときにはあらかじめ必ずワクチン接種をしておきます。
また妊娠中のメスネコや、生後4週間以内の子ネコにワクチンを接種してはいけません。

●水頭症
頭蓋骨の中に、脳室と呼ばれるせまい空間があります。
脳室は、脳脊髄液という透き通った液で満たされています。
脳脊髄液は決まった量だけ分泌されて脳のまわりを循環していますが、
その通り道が途中で妨げられると、脳脊髄液が流れにくくなって、
脳を圧迫します。
これを水頭症といいます。

ネコではまれですが、シャムネコにはときどき発生します。
水頭症のネコは大脳が圧迫されているため、目が見えない、発作をおこす、
興奮しやすいなどの症状を示します。
治療には、脳圧を下げるために副腎皮質ホルモン薬と利尿役を与えます。
しかし、水頭症のネコのほとんどは、若いうちに死んでしまいます。

●マンクスの脊椎異常
尻尾の無いマンクスというネコは、生まれつき脊椎や脊髄に異常があることがあります。

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