貧血

 

貧血という現象は、赤血球の数や赤血球の中にあるヘモグロビンの量が減った時に起こります。
貧血を引き起こす原因はさまざまで、出血や溶血のほか、骨髄が十分に赤血球をつくれない
病気になった時です。

赤血球には、ヘモグロビンと呼ばれる物質がふくまれています。
このヘモグロビンは、酸素とたいへんくっつきやすい性質をもっています。
人間や動物の肺の中では、このような性質をもつ赤血球が酸素と二酸化炭素を入れ替えて、
全身に酸素を運んでいます。

そこで、もし、血液中の赤血球やヘモグロビンの量が減って全身に酸素が十分に運ばれなく
なると、重要な臓器や組織に酸素不足が生じます。
すると酸素不足を補うため、呼吸がはやくなったり心臓の鼓動(脈拍)が早まったりします。

それでも十分に酸素を供給できないと、唇や粘膜や舌が紫色になって(チアノーゼ)、
貧血の症状を示します。

ネコが急に重い貧血になるのは、次のような原因が生じたときです。

●事故にあったり外科手術を受けて大量に出血した。

●ある種の病気にかかって溶血(赤血球が寿命がくる前に壊れる)がおこり、
大量の赤血球が失われた。(溶血性貧血を参照)

●骨髄の病気にかかり、赤血球が十分に作られなくなった。

また、老齢になると、、腎臓や肝臓の働きが低下します。
その結果赤血球をつくる能力がおとろえ、赤血球の寿命も短くなるため、
ネコはいっそう貧血を起こしやすくなります。

ネコ白血病ウイルスやネコ免疫不全ウイルス(ネコエイズ)にかかったり、
悪性腫瘍(ガン)や内分泌系の病気になっても貧血が起こります。

治療では、ネコの貧血がひどい時は輸血を考える事もあります。
とくに事故の直後で大量に出血したような場合はすぐに手術をして出血を止めます。
また溶血がおおこっている場合は原因を調べてから治療します。

腎臓の働きが低下している時は、点滴や透析による対症療法を行います。

肝臓の働きが悪くなっていることがわかれば、点滴をして機能の回復をはかります。

赤血球の数やヘマトクリット値が増加するまで酸素吸入を続ける事とも有ります。

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